テクノストラクチャー
性能・構造
「木」+「鉄」のパナソニック耐震住宅工法
テクノストラクチャーとは?
<テクノストラクチャー>
「木の家に住みたい」+「安心を守りたい」2つの“想い”が創り出した第三の工法、それがテクノストラクチャーです。
「木の家に住みたい」― これは、日本で暮らす人の多くが願う住宅への“想い”です。 そこで、パナソニックは考えました。 人々の住宅への“想い”と、人々の暮らしを考えるパナソニックの“想い”。2つの“想い”が出会ったとき、新たな発想が芽生え、新たな<家>が生まれました。 それが「木造の快適性」と「鉄骨造の安全性」、その両方のメリットを活かしたパナソニック独自の第三の工法<<テクノストラクチャー>>です。 |
安心して暮らせる住まいを
開発者の“想い” ~テクノストラクチャー誕生~
安心して暮らせる住まいを |
「お客様に、安心して暮らしていただける住まいを提供したい」。この発想から平成5年(1993年)12月に新たな住宅工法を開発するためのプロジェクトメンバーが集められました。 もともと住宅は、そこに暮らす人のシェルターであることが第一。つまり人の命を守る器であるべきだと強く考えていました。 「安心して暮らせる住まいを…」。開発メンバーの全員が、そう思っていました。 |
開発当時のプロジェクト中心メンバー。 |
木の家に住みたい |
新工法の開発をするために、まず取り掛かったのが工法と住宅の調査でした。 この調査の結果から、新たな住宅工法のコンセプトが、「今までにない強い木造工法の開発」に決まりました。さらに「住宅の重みによって大きな負荷がかかる柱や梁に鉄骨を用いて、住宅の強度とプランの自由度を飛躍的に高める」「強度の裏づけとして、1軒1軒すべての住まいで構造計算を行なう」という2つのテーマが掲げられました。 従来の木造工法の常識をくつがえすプロジェクトがスタートしました。 |
従来の木造住宅の工法 |
テクノストラクチャーの誕生 |
「下に曲がる方向に力がかかる梁には、曲げやたわみに強度を発揮する鉄骨を」「縦方向に力がかかる柱には、圧縮強度の高い木材を」、さらに様々な外力に耐えうる適材適所の材料選定や材料の接合方法などの調査・研究を繰り返し、少しすつ新工法の形を作り上げていきました。 そして開発に着手して半年後の平成6年(1994年)5月には、建設省(現在の国土交通省)の外部団体である財団法人日本住宅・木材技術センターから「良質で適切な価格の木造住宅による、合理化した生産供給システム」としての認定を受けました。 これを機会に、匠の技(テクニック)とテクノロジーの融合した(→テクノ)構造体(=ストラクチャー)という意味合いを込めて新工法の名称を『テクノストラクチャー』に決定しました。 |
開発当時のロゴマーク |
開発当初のテクノビーム |
接合部には「ほぞピン」と「オリジナル接合金物」を使用。高品質な住宅の安定供給を可能にしています。 |
記念すべき、第1号の試作棟骨組み |
課題への挑戦 |
ようやく名前も付き、発売に向けて本格的に開発がスタートした『テクノストラクチャー』ですが、結露対策、構造計算の確立、施工性の向上などの様々な難題が開発スタッフを待ち受けていました。
結露対策に有効な手段を見つけるために、氷点下20度を超えることもある北海道の帯広に試作棟を建設して住宅内の湿度分布を調査しました。熟練工の経験と知識、勘に頼っていた木造住宅の構造計算は、構造部材(柱・梁・筋かい等)の1本1本に加わる力を検証し、強度確認と構造計算を行なうことができるコンピュータのシステムを開発。施工性を向上させるために、5ヵ月間で実際の住宅の骨組みを2度も建設しては取り壊すという大変な施工確認実験の実施も行ないました。
3度目の試作棟建設検証作業が完了する頃には、平成6年が終わろうとしていました。
帯広の評価技術センター。温・湿度試験をはじめ、耐久性実験、壁体内結露試験など、厳しい低温環境下での数々の試験を実施しています。 |
開発当時の構造計算の画面 |
施工性を検証するため、大工さん全員に背番号ゼッケンをつけてもらい、施工時間を計測しました。 |
自然の猛威、阪神・淡路大震災“人の命を守りたい” |
平成7年(1995年)1月17日午前5時46分。自然の猛威・大地震が突然関西を襲いました。忘れることができない大惨事「阪神・淡路大震災」です。 自宅で就寝中だった私は、経験したことのない強い揺れで飛び起きました。すぐに妻や子供を安全な場所に移し、家の外に出て状況を確認しました。その時すぐに大変な大地震が起こったと直感しました。 「『テクノストラクチャー』は大丈夫か…」 |
パナソニック株式会社 エコソリューションズ社 (旧パナソニック電工本社)構内に建てられた最終の試作棟。 |
被害の状況が分かるにつれ、1ヵ月前に大阪の門真市(震度5を記録)に建てた試作棟のことが心配になってきました。
実験・仮設建物ということで、地盤改良をしないまま地耐力の弱い地に建てた試作棟です。
「本来の耐震性を発揮できずに損傷しているのでは」そう覚悟しました。
自宅から自転車で1時間30分。「テクノストラクチャーの開発もこれで終わりになってしまうなあ…」そんなことを考えながら試作棟に向かいました。到着して恐る恐る試作棟に近づいてみると、外観上に損傷は無く、中に入ってもこれといった損傷は見当たりませんでした。
「テクノストラクチャーは強い!開発は間違っていなかった」
そんな“想い”が、熱くこみ上げてきました。そして同時に大惨事の映像を思い出し、住宅工法の開発者として「人の命を守りたい」という“想い”が、さらに強くなっていきました。
木の家を、強く広く |
「阪神・淡路大震災」が起こった年の6月、テクノストラクチャーの記念すべき第1号邸が熊本で上棟されました。 「東日本大震災」でもテクノストラクチャーの家は、大きな損傷が無く、地震に強いことが証明されました。“人の命を守る=安心住宅”。 日本の気候風土によく合い、日本人の特性にもよく合った、<木の家>。 テクノストラクチャーの<木の家>を“もっと強く、もっと広く”。それがパナソニックの開発者の、いまの“想い”です。 |
(財)原子力発電技術機構 多度津工学研究所における、実大振動実験の様子。 威勢のいい三三七拍子に見送られ、初出荷が行われました。 |
【参考文献】
パナソニックESテクノストラクチャー株式会社 テクノストラクチャーホームページ「開発物語」 http://panasonic.co.jp/es/pestst/techno/monogatari/
【取材協力】
パナソニックESテクノストラクチャー株式会社 石崎取締役
震度7の地震にも耐える強さの“秘密”
パナソニックの技術
パナソニックの<木の家>は、震度7の地震にも耐えうる耐震住宅。
さて、その“強さ”の秘密は?
強さの“秘密” 【part1】 |
「強い家で暮らしたい」。それは、誰もが考えることです。では、強い家とは?
それは、家も人も同じで、強靭な骨格(構造体)を持っているか、そこが重要になってきます。
木+鉄のオリジナル複合梁『テクノビーム』で、木造住宅の弱点を解決! |
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住まいの構造のなかで、最も荷重を受けるのがどこかを知っていますか? その答えは、【梁】です。 そこでパナソニックは、木の【梁】の弱点(生育してきた縦向きの力には強いが横向きの力には弱い)を解決するために、横向きの力にも強い軽量H形鋼を芯材に上下を木で挟んだオリジナル複合梁「テクノビーム」を開発し、バランスのとれた強靭な構造体を持つ<木の家>を実現しました。 |
強靭なオリジナル金具で、木造住宅の弱点を強化! |
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地震などで木造住宅が倒壊する原因の一つに木材と木材の接合部の弱さがあります。 『テクノストラクチャー』は、部材と部材の接合にオリジナルの接合金具を使用することで、木材の切り欠きを最小限にし、材質本来の強度を最大限に活かした頑丈な構造体を実現しました。 |
強さの“秘密” 【part2】 |
木+鉄のオリジナル複合梁『テクノビーム』やオリジナル接合金具で木造住宅の弱点を解決しましたが、それだけでは本当に強い<木の家>は実現できません。
何よりも大切なのは、住まい全体のバランスです。
オリジナルの構造計算システム『自動躯体設計システム』で一棟一棟をチェック! |
「構造計算って、何を計算するの?」、そう思う人も多いのでは。 構造計算は、地震、台風、豪雪などの災害が起こった場合、住宅にどんな力が加わるかを計算し、その力に住宅が耐えられるかを詳細に検証するものです。これほど大切な構造計算が、木造2階建て住宅には義務づけられていません。 そこでパナソニックでは、オリジナルの構造計算システム『自動躯体設計システム』で、間取りや建設地域など条件が異なる一棟一棟を、法律で定められている水準を上回る全388項目(多雪区域は440項目)で構造体の強さと住まい全体のバランスをチェックしています。 |
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パナソニックの厳しい目で、一棟一棟の完成度をチェック! |
パナソニックでは、お客様の住まいの構造計算書と構造計算保証書を施主様にお渡ししています。
さらに、上棟した段階で構造計算書どおりに建てられているかを、パナソニックスタッフの厳しい目で完成度を詳細にチェックしています。
建築前、建築後のダブルチェックをすることで強い<木の家>を実現しています。
テクノストラクチャー構造計算書
構造計算の結果は「構造計算書」としてお客様にご提出。 |